玄人: ”実行行為”をしない共犯が何故処罰されるのか?
これをめぐって生じた議論が「絶望の章」「暗黒の章」としての「共犯論」の始まりなんだ。
神渡: ・・・
い、今から始まるのですか?
玄人: そうだ。
流相: え~~!
玄人: 結果(法益侵害)を重視する平野先生、行為を重視する従来の客観主義刑法理論の対立だ。
結果vs行為
玄人:という図式だな。
流相: 因果的共犯論、不法共犯論、責任共犯論とかの対立ですね。
玄人: そうなる。
ただ、それぞれの説が前提とする考え方をしっかり押さえておかないと絶望・暗黒から脱出できない!
流相:
結果無価値vs行為無価値
流相:の対立のことですか?
玄人: 良いところに気がついた!
実は、共犯の処罰根拠論の対立は、今流相が言ったように、「結果無価値」と「行為無価値」の対立なんだ。
流相: やっぱりね!
阪奈: 調子に乗ってるんじゃないわよ!
流相: お~、怖っ!
結果無価値論からだと、「因果的共犯論」になるよね。
阪奈: そうね。
流相: じゃ、行為無価値論からだと「不法共犯論」?
神渡: あの、すみません。
そもそも「因果的共犯論」と「違法共犯論」の違いは何でしょうか?
玄人: 良い質問だ!
ここを押さえないと議論が進まない。
阪奈: 「因果的共犯論」は正犯を介しての結果の因果的惹起ということね。
つまり、正犯を介して因果関係のある結果を引き起こしたから共犯は処罰されるというのが「因果的共犯論」なの。
流相: で、「不法共犯論」は、大塚仁先生の本によれば、
共犯者は正犯者の故意を惹起して違法な犯罪行為にいたらせ、またはその援助行為によって違法な正犯行為を促進したと解する(大塚仁『刑法概説(総論)第三版』(有斐閣、1997年)274頁)
流相:見解のことなんだ。
惹起説とか促進説とも呼ばれているんだよ。
神渡: 内容は分かったのですが、その「不法共犯論」は「因果的共犯論」と違うのでしょうか?
「不法共犯論」も惹起説とか促進説とか呼ばれているとのことなのですが、「因果的共犯論」も別名、「惹起説」と呼ばれていると記憶しているのですが・・・
違いがあるのかないのかよく分かりません・・・。
---次回へ続く---