玄人: この「刑罰拡張事由」としての共犯の理解は、「客観主義刑法理論」を基礎とするんだ。
流相: 外部に現れた”行為”を処罰対象とする「客観主義刑法理論」からどうして共犯が「刑罰拡張事由」となるのですか?
狭義の共犯であっても、幇助行為とか教唆行為とか外部に現れた行為が処罰対象だと思うのですが・・・
玄人: たしかにそうだが、「客観主義刑法理論」でいう”行為”というのは、刑法上特別な意味を持つ”行為”なんだ。
阪奈: ”実行行為”のことですね。
玄人: そう!
その”実行行為”は、正犯の構成要件に該当する行為のことで、共犯の行為は、ここで言う”実行行為”にはあたらないと考えられてきた。
阪奈: 刑法は、実行行為を行う正犯を処罰するから、実行行為を行わない共犯は本来処罰されないはずだ、というのが、「客観主義刑法理論」の帰結だったわけですね!
玄人: そうそう。
だから、「客観主義刑法理論」からは、共犯は「刑罰拡張事由」と理解されてきたんだ。
神渡: そういうことだったのですね。
「客観主義刑法理論」からは「実行行為」を行わない共犯は本来処罰されないはずですが、それでも刑法典には共犯処罰規定(61条、62条)があるので、何故、共犯が処罰されるのかを検討しなければならない。
そこで考えられたのが、何故共犯が処罰されるのか?という「共犯の処罰根拠論」なのですね?
玄人: そうなんだ。
「共犯の処罰根拠論」のそもそもの出発点を押さえることが「共犯論」理解の出発点でもあるんだよ。
流相: なるほどぉ~。
歴史って大事なんですね!
なんか、玄人先生がおっしゃるように、絶望・暗黒の中に一筋の光が見えてきました。
玄人: これからなんだが?