富公: C県職員が
下級行政機関である本件組合に対する本件認可は、処分に該当しない
富公:と明言したのは何故でしょうか?
C県側はどういう考え方に立脚していますか?
阪奈: 処分要件該当性判断基準にいうところの、「国民」への法効果があるか?という位置づけで分析する必要があります。
富公: そうですね。
どうなりますか?
神渡: 「処分」は、「国民」へ法効果が生じる国家の行為です。
もし、本件組合がC県職員が言うように、行政主体であるとすると、本件認可は、行政機関内部の行為となりますから、「国民」への法効果が認められません。
ですので、本件認可は「処分」に該当しないことになります。
富公: つまり?
阪奈: つまり、C県側は、内部行為論に立脚しています。
富公: そうなりますね。
本件認可は、下級行政機関である本件組合になされているのだから、「国民」への法効果は生じないのだ、だから、本件認可の処分性が否定されることになる、とC県側は考えているわけですね。
では、このC県側の主張の論拠となり得る土地区画整理法の規定がありますか?
流相: はい。
土地区画整理法123条は、
都道府県知事は・・・組合・・・に対し、市町村長は・・・組合・・・に対し、・・・報告・・・資料の提出を求め、・・・勧告、助言若しくは援助をすることができる。
流相:と規定しています。
また、同法125条は、
(組合に対する監督)
流相:を認めています。
この規定は、組合に対する国家(都道府県、市町村)の統制を規定しているから、これらの規定は、組合が下級行政機関であるというC県側の主張の論拠となり得ます。
富公: 以上からすると、土地区画整理組合の法的性格はどうなりますか?
流相: 下級行政機関、つまり“行政主体”となると思います。
富公: そうなるでしょうね。
では、ただちに「処分」性は否定されますか?
流相: そうなると思うのですが・・・
阪奈: それはどうでしょうか?
「組合」自体は“行政主体”であるとしても、その構成員(組合員)は国民です。
本件認可が個々の組合員に対して法効果をもたらすのであれば、本件認可の「処分」性が認められるはずです。
【法律事務所の会議録】で弁護士Fが
本件認可の法的効果を幅広く検討することによって、処分性が認められる余地があるのではないでしょうか。
阪奈:と述べているのは、そういう意味だと思います。
つまり、「本件組合」を介して、個々の組合員に、何らかの効果が及ぶかどうかを検討する必要があります。
流相: あ~~、そうか、なるほどぉ。
ということで、「個別的」効果の検討をするわけですね。
---次回へ続く---