流相: 「政教分離規定」の適用場面をしっかりと押さえておく、ということか、確かになぁ。
じゃ、まずよく使われる、憲法20条3項の適用場面から検討しようよ!
阪奈: それが良いわね。
神渡: 条文には次のように規定されているわ。
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
神渡: この規定から分かることは、なんらかの活動をする主体は、
国及びその機関
神渡:ということね。
阪奈: 20条3項は、国及びその機関に、特定の行為をすることを禁止している規定ということね。
流相: どういう行為が禁止されているのか、というと、
宗教教育
宗教的活動
流相:が禁止されているわけだ。
神渡: その行為の中でも特に問題となってきたのが
宗教的活動
神渡:ということね。
阪奈: その解釈については後で検討するとして、今確認すべきは、20条3項の適用場面ね。
流相: つまり、20条3項が禁止している場面は、
国等が、宗教的活動等をする場面
流相:ということだな。
阪奈: そうね。
じゃ、次は、89条前段の適用場面を検討しようか。
神渡: 条文では、
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため・・・これを支出し、又はその利用に供してはならない。
神渡:と規定されているわね。
難しい条文…
阪奈: 適用場面はかなり複数あるわね。
・(公金などの)公財産
・宗教上の組織の使用、便益、維持(3場面)
・宗教上の団体の使用、便益、維持(3場面)
・(公金などの)公財産の支出、利用(2場面)
阪奈: 合計で、12通りの適用場面がある…
流相: えっ?そんなに?
阪奈: 条文上はそうなるわね。
神渡: それはややこしくなるわね。
阪奈: 次は、20条1項後段があるわね。
神渡: 条文上は、次のようになっている。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
流相: めったに聞かない条文だ。
宗教団体が禁止される行為を規定しているわけね。
阪奈: そう。
宗教団体が国から特権を受けることが禁止されるということは、国が宗教団体に特権を付与することが禁止されるということだと思う。
流相: しかし、特権付与禁止だとか政治上の権力行使の禁止とかはこれまでほとんど議論されてきていないだろ?
基本書でもあまり触れられていないもん。
阪奈: そうだと思う。
でも、解釈論うんぬんより、適用場面をしっかりと押さえているかが重要だと思う。
神渡: 少なくとも、憲法上の政教分離規定の1つとして20条1項後段もあることは知っておかないといけないよね?
流相: そうだね。
僕は20条1項後段なんて存在自体忘れていたし…
阪奈: 以上の3つの政教分離規定の適用場面を踏まえたうえで、本問で問題となっている国家行為がどの政教分離規定に該当するかを検討することになる。
---次回へ続く---