富公:さて、本日から行政法の講義を始めます。
行政法を担当する富公(ふーこー)です。
皆さんよろしく願います。
流相:お願いします。
---シーン---
流相:(お、俺だけ?)
富公:行政法は取っつきにくい科目だと言われているようですね。
まぁ、たしかに用語は難しいし、法律は細かいし、個別行政法が多いし、で嫌気がさすという受験生が多いと思います。
しかし、ハッキリ言うと、そんなものは慣れです。
慣れてしまえば苦手意識もなくなります。
ただ、行政法固有の思考のコツやポイントがありますので、そこに気をつけて勉強していけば行政法は必ず得意科目になります。
この講義ではそういう思考のコツやポイントに焦点をあてて講義を進めていきたいと思います。
題材は、司法試験の過去問です。
で、初回からいきなりですが、告知したとおり、公法系平成25年度の第2問行政法を題材にして講義を進めていきましょう。
今日のテーマは、
「処分性」
です。
流相:(え~、いきなりの難問!?)
富公:じゃあ、“え~?”、という顔をした流相君!
この問題はどういう問題でしたか?
流相:はい。
問題文を全部読むんですか?
富公:いや、それは不要です。
皆さん、予習で読んできているはずですから。
〔設問1〕は何を聞いているんですかね?
流相:え~と・・・
本件定款変更についての認可申請に対する、C県知事による、本件定款変更の認可(以下「本件認可」と省略します。)が取消訴訟の対象となる「処分」(行政事件訴訟法3条2項)にあたるかどうかを聞いています。
富公:ざっくり言うとそういうことです。
では、“「処分」”って何ですか?
阪奈:「処分」とは、
公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの(最判昭和39年10月29日)
阪奈:を言います。
富公:そうですね。
判例はそういう表現をしています。
これは判例が言う「処分」の定義ですので、是非覚えて下さい。
で、この判例の「処分」に本件認可は該当しますか?
流相君!
流相:え?え?
・・・
富公:それが普通の反応です。
心配しないで良いですよ、流相君!
この判例の定義だけで、本件認可の「処分」該当性を判断することができる人はおそらくいませんので。
本件認可の「処分」該当性判断をするためには、「処分」に該当するか否かの判断基準を理解していないといけないんです。
本日の講義では、その判断基準の理解に注力していく予定です。
ここを理解することが、行政法の思考のコツ習得に不可欠となります。
---次回へ続く---