玄人: さて、今日からいよいよ「共犯論」に入る!
皆覚悟はできているかな?
流相: 「共犯論」の勉強に覚悟がいるのですか?
玄人: いる!
「共犯」は、別名”絶望の章”とも呼ばれているくらいだからな。
ちなみに、私は、”暗黒の章”と呼んでいるが・・・
神渡: 絶望、暗黒・・・ですか。
流相: 先生、驚かせないでください!
これから初めて「共犯」の勉強をする人もいるんですから。
玄人: それは分かる。
だから分かりやすく講義することを意識はする。
絶望、暗黒の中に一筋の光明を見つけ出し、その光に向かって進んで、絶望と暗黒の中から抜け出してもらいたいと強く思っている。
ただ、時間的制約があって中々伝えることができない部分も出てくるので、その際は、質問をするように!
ここまでこの講義について来ることができた皆さんなら「共犯論」にも十分についてくることができる!!
・・・と、励ましたところで、「共犯論」の講義の全体像をまずは話しておこうと思う。
(1)共犯(狭義の)の処罰根拠
→教唆、幇助
(2)教唆、幇助の各論点
(3)共同正犯の処罰根拠
(4)共同正犯の各論点
玄人:この講義の「共犯論」の全体像は、大きく、この4つで構成される。
流相: 教唆、幇助から検討するのですね。
何故、共同正犯からではないのですか?
玄人: それは、共同正犯は、共犯と正犯の性質を併せ持った特殊性を持つから、まずは共犯の典型である教唆、幇助から検討した方が「共犯論」を理解しやすいと考えるからだ。
流相: ですが、共犯においては圧倒的に「共同正犯」が多いと聞きます。そうしますと、「共犯」の典型は「共同正犯」なのではないですか?
玄人: 数の上では確かにそうだが、ここで「典型」と言っているのは、数のことではない。理論のことだ。
「共犯」を理解するためには、「正犯」と「共犯」の対比がまずは重要だ。
「共同正犯」はさっきも言ったように、「共犯」と「正犯」の性質を併せ持つから、初めに「共同正犯」を勉強することは「共犯論」の理解をあやふやなものとする危険性が高くなる。
だから、「共犯」の中でも、「正犯」の性質を全く持たない「狭義の共犯」から検討するわけだ。
---次回へ続く---