---講義後の教室にて---
神渡: 阪奈さん、
私、今、平成24年の憲法過去問を検討しているのだけど、難しいの。
一緒に考えるの手伝ってくれないかしら?
阪奈: もちろん!
その問題は一度検討したことがあるの。
でも、私も難しいな、と思うのよね。
---突然あたりを見回す阪奈---
神渡: どうしたの?
阪奈: いえね、流相はいないわよね、と思って確認していたの。
神渡: そういえば、いないわね。
帰ったんじゃないかしら?
阪奈: だったらいいけど…
じゃ、早速検討しましょうか?
神渡: 私は問題を持っているけど、阪奈さんは?
阪奈: 大丈夫、スマホにPDFで保存してあるから。
神渡: 凄い!
さすが、阪奈さん。
流相: 僕もスマホに保存しているぞ!
阪奈: えっ?
ど、どこから湧いて出てきたのよ??
流相: 失礼な!
机の下にシャーペンの芯を落としてしまったのでそれを拾うためにさっきからずっと机の下にもぐっていたんだよ!
そしたら、神渡さんの声がしたんだ。
阪奈: …
まるで、ストーカーね!
流相: いやいやいや、そもそもストーカーだったら名乗り出ないだろ?
僕は一緒に勉強をしたいだけであって、何を言っているんだよ!
僕も混ぜてくれよ。
神渡: もちろん、良いわよ。
私からもお願いします。
阪奈: はぁ…
神渡さんがそういうのならしょうがないわね。
流相: では早速ですが、平成24年の問題を一読させてください。5分位。
神渡: じゃ、各自で5分位問題文を読みましょう。
---5分後---
流相: さてと…
一読しただけで、論点は明確だね。
”政教分離”
阪奈: そう。
そこは間違いようがないでしょうね。
流相: しかし、問い方がエグイよ。
〔設問1〕では、
どのような訴訟を提起するか
流相:だよ?
行政法じゃないんだからさぁ…
まったく不意打ちだよ!
阪奈: 試験委員に文句言ってどうすんのよ!
私たちは受験生なの!
それに、実務では、どういう訴訟を提起するかはとても重要だろうし、そうだとすると、それを試験で問うのは当然、ということになるわね。
神渡: ここは、住民訴訟(地方自治法242条の2第1項4号)を提起するということで問題はないわよね?
阪奈: そうね。
流相: やはり問題は、
訴訟代理人として行う憲法上の主張
流相:だよな。
端的に言えば、政教分離に反する、ということなんだけど…
阪奈: それだけでは問いに全く答えていないのは間違いないわね!
神渡: ここからが難しいと思うの。
どの”政教分離”規定を適用するのかしら?
流相: どの”政教分離”と言われても…
当然、89条前段だと思うけど?
阪奈: まずは、憲法上の政教分離規定を挙げてみましょう。
流相: 挙げるほどあったかなぁ?
神渡:
・宗教団体への特権付与禁止(20条1項後段)
・国等による宗教的活動の禁止(20条3項)
・宗教上の組織等への公金等の支出等の禁止(89条前段)
神渡: 憲法上の政教分離規定としては上の3つがあるわね。
流相: 特権付与禁止(20条1項後段)のことすっかり忘れてた…
そうか、3つあったんだ。
阪奈: 流相だけじゃなく、意外に忘れがちな規定だもんね。
流相: 本問では、どの政教分離規定が適用されるんだろう?
阪奈: それを検討するにあたっては、とても重要な事案分析をしないといけない…
流相: 何だっけ?
---次回へ続く---