流相:
(1)Cと反対意見の具体的内容や意見表明に当たってとった手段・行動に大きな違いがあるにも関わらずCと自分を同一に扱ったことが差別である。
流相: という主張、つまり、他と違うのに他と同じように不利益に扱われたという主張が「平等」の保護範囲に含まれるのか?という問題は、「平等」(憲法14条1項前段)の定義をどう考えるか?ということですよね?
阪奈: そうだと思います。
BもCもA市におけるY採掘事業に関して公の場で反対意見を表明したことがあるという点では同じで、その同じことをもってBCを同様に不利益に扱っています。
反対意見の公表という共通点をもって同じに扱うことは、絶対的平等の観点からは問題ありませんが、反対意見の表明に当たってとった手法・行動の違いを全く無視することは、相対的平等の観点からは問題があります。
憲法14条1項にいう「平等」とは、合理的区別は許容する「相対的平等」と理解すべきです。
神渡: 「平等」が「相対的平等」を意味すると考えると、他と違うのに他と同じように不利益に扱われたという主張は、まさに「平等」の保護範囲に含まれてきますね。
とすると、次に問題となるのは、「相対的平等」で許容される「合理的区別」か否かの判断基準をどう定律するかということですね。
払猿: そういうことになります。
流相: そこは、「平等」の合憲性判断基準の問題だね。
ここは、後段列挙事由は厳格に、それ以外は、「二重の基準論」の発想を取り入れて合憲性判断基準を立てることで受験上は良いですよね?
払猿: そこはそれでいいと思います。
では、Bの(1)の主張に適用する合憲性審査基準は何でしょうか?
流相: う~ん…
後段列挙事由である「信条」に基づく差別だと思うので、厳格に審査する、という結論になると思います。
阪奈: でもねぇ…
流相: 違うの?
阪奈: 違うわけではないけど、Bとしては、自分が意見表明をするにあたってとった手法・行動をA市が一切考慮しなかったことに不満を抱いているはず。
その不満とA市の差別的取扱いとの間にどういう関係があるのかを検討しないといけない気がするわ。
神渡: なるほど。
たしかに、そういう気がしますね。
Bがとった手法・行動までを具体的に検討していたならば、BをCと同じように不利益に扱うということにはならなかったと思いますからね。
何故、A市が、Bがとった手法・行動を検討しなかったを考えてみる必要がありそうです。
阪奈: そうよね、神渡さん。
何故、A市はBがとった手法・行動を検討しなかったのか?
それは、結局、A市が採用したY採掘事業にBが結論として反対していることをA市が気に入らないからだということになると思うわ。
ということは、BをCと同じように不利益に扱ったのは、BがA市のY採掘事業に反対しているというBの「信条」がA市にとって不都合だったからだ、ということになるわね。
流相: だから、「信条」に基づく「差別」ということになるんだね。
うん、なるほど。
Bのところで検討すべきは、
(1)「平等」の内容
(2)不利益取扱いが「信条」に基づくのか?
流相: ということだね。
---次回へ続く---