阪奈: 私も神渡さんに負けないように頑張るわよ~!
ということで、早速ですが、
後行者は先行者に共謀加担することによって、先行者の保障人的地位を共有する(山口厚『刑法総論[第3版]』(有斐閣、平成28年)375頁)
阪奈:と山口先生はおっしゃっているわね。
流相: 良くわからないなぁ…
そもそも「保障人的地位」ってどういう場合に認められるんだったっけ?
阪奈: 流相にしては丁寧な質問ね。
流相: お褒めいただきありがとうございます!
阪奈:
「結果原因の支配」(山口厚『刑法総論 [第3版](有斐閣、平成28年)90頁)
阪奈:を保障人的地位の要件としているわね。
流相: ふ~ん…(よくわからん)
神渡: 承継的共同正犯での「結果原因の支配」というのは、反抗抑圧状態の支配ということ?
阪奈: そうね。
強盗罪が成立するためには、
暴行(脅迫)→反抗抑圧→財物奪取
阪奈:という因果経過が必要。
強盗罪が成立するには、反抗抑圧状態があることが必要で、その反抗抑圧状態が強盗結果惹起の原因といえる。
だから、山口先生の試論で承継的共同正犯が成立するためには、強盗罪の結果惹起の原因である「反抗抑圧状態」を後行者が支配することが必要になるのね。
流相: ほほぉ~。なるほど!
う~ん…
でも、後行者って暴行や脅迫を行っていないよねぇ。
そもそも反抗抑圧状態を惹起したのは、先行者の暴行だろ?
先行者の暴行に後行者は加わっていないわけだから後行者が反抗抑圧状態という結果惹起の原因を支配していたとは言えないんじゃないかなぁ。
阪奈: 流相のくせに、鋭いツッコミをするわね!
流相: 一言多い!
阪奈: 承継的共同正犯をを不作為犯論で正当化しようとする山口先生の試論においては、そこが肝になるわね。
その点について、山口先生は、さっきも言ったように、
後行者は先行者に共謀加担することによって、先行者の保障人的地位を共有する(山口厚『刑法総論[第3版]』(有斐閣、平成28年)375頁)
阪奈:とおっしゃっているの。
神渡: でも、さっき流相君が言ったように、後行者は先行者の暴行に何ら関与していないのだから、「反抗抑圧状態」という強盗罪の結果惹起の原因を後行者が因果的に支配しているようには思えないのだけれど…
後行者が先行者に共謀加担することでどうして後行者が先行者の保障人的地位を共有することができるの?
流相: そうだ、そうだ!
そこんところがクリアできていない!(はずだ)
阪奈: う~ん…たしかにねぇ…
山口先生も、
先行者が保障人的地位に立つのは、先行者が暴行や脅迫を加えたから(山口厚『承継的共犯論の新展開』法曹時報68巻2号(2016)18頁)
阪奈:だとおっしゃっているのよねぇ…
---次回へ続く---