流相: お~い、神渡さ~ん!
神渡さ~ん!
神渡: あっ、流相君!
どうしたの?
流相: ちょっと勉強のことで相談があるんだ。
神渡: えっ?私に?
流相君の方が勉強しているから私では相手にならないと思うんだけど・・・
流相: いや、違うんだよ。
勉強期間が長いのと、勉強方法を知っているのとは全く違うレベルの話なんだぁ。
神渡: そうなのかしら?
流相: 神渡さんは質問が鋭いと思うんだ。
神渡: そうかしら?
阪奈: あら、お褒めの言葉ありがとう!
流相: えっ?阪奈女史?
どこから?
阪奈: そこの角に隠れてました。
油断も隙もあったもんじゃないわね。
流相: い、いや、僕は神渡さんに勉強方法のことで相談があっただけで・・・
阪奈: ふ~ん、だったら玄人先生の研究室へ3人で行って相談に乗ってもらいましょ!
神渡: 良いわね!
流相: あ、あぁ・・・
またお邪魔虫が・・・
---コンコン---
玄人: 開いてるよ。
阪奈: お邪魔します。
神渡: 失礼します。
流相: また来ました~。
玄人: 今日はどうした?
流相: 実は、法律の問題文を読んでも何を書けばよいのか分からないんですよ。
玄人: ん?何で?
法律の勉強をしてるだろ?
流相: してるんですけど、事実が多くなればなるほど法的に何が問題になるのか分からなくなります。
阪奈: あ~、たしかにそれはあるわね。
というか、一番難しいところじゃないかしら?
神渡: それは私も思っていました。
玄人: 阪奈さんが言うようにそこが一番難しいよな、たしかに。
法律の枠組みに照らして、法的に意味ある事実を切り出していくことから法律問題の分析は始まるんだよ。
ただ事実を見ていても、法律問題は浮き上がってこない。事実の海に飲み込まれるだけだ。
スタートだけど、いやスタートだけに一番難しい・・・
流相: どうすれば良いんですか?
玄人: 法律の枠組みの勉強は当然必要だ。
刑法でいうと、学説や判例の理解を含むが、もっと大きなところからの法律の枠組みのことだ。
その上で、その枠組みに照らして事実を見ていく必要がある。
流相: そうなんでしょうが、その「枠組みに照らして事実を見ていく」ことが難しいんです。
玄人: 頭で考えてもしょうがないから実際にやってみようか?
神渡: お願いします。
阪奈: 私からもお願いします。
玄人: 簡単な事例を挙げてみよう。
簡単な事例が分析できて初めて複雑な事実の分析が可能となるからな。
たとえば、こういう事例だ。
甲は乙を部屋に閉じこめて、数時間にわたって殴る蹴るの暴行を加えた。その結果、乙は死亡した。あなたが検察官だとした場合、甲を何罪で起訴するか?
玄人:さぁ、流相、どうする?
---次回へ続く---