阪奈:本問のデモ行進の自由は、政治的主張のためのデモ行進であることは明らかですから、精神的自由権の問題であることは認めた上で反論をすることが適切な訴訟追行に必要だとおもいます。
ですので、デモ行進の自由は憲法21条で保護されることを認めた上で反論をすべきかと思います。
払猿:ということは、保護の程度が弱いと反論するということですか?
阪奈:はい、そうです。
払猿:その理由は何でしょうか?
阪奈:それは、流相君が言った「集団暴徒化論」です。
集団でのデモ行進は、「赤信号みんなで渡ればこわくない」という群集心理により暴徒化する危険があるので、静的集会である「集会・・・の自由」よりも保護の強度は弱い、と私であれば反論します。
また、規制目的はデモ行進を認めることから生じる弊害防止にあるわけですから内容規制ではなく、内容中立規制であることが明らかであるので、制限強度も弱いと反論します。
そうしますと、具体的な審査基準としては、「厳格な合理性基準」くらいに留めるべきかと思います。
神渡:「二重の基準論」との関係はどうなるのでしょうか?
「厳格な合理性基準」は経済的自由権の制限に用いられる基準ではないか?と私は理解しています。
経済的自由権の制限については、「合憲の推定」が働くというのが「二重の基準論」の考え方です。
そうしますと、阪奈さんが言う審査基準は「合憲の推定」が働くという理解でよいのですか?
阪奈:「二重の基準論」との関係でいくとそういう理解になると思いますが、そうしますと、精神的自由権の問題にしたことと矛盾します。
ですので、B県公安委員会側の反論としましては、「二重の基準論」を採用すべきではないと思います。
単に、
(1)保護強度と
(2)制限強度
の相関関係により具体的な審査基準を定める「比例原則」で反論すべきかと思います。
神渡:なるほど!
精神的自由権の制約問題であることは認めたうえで、しかし、理屈としては「二重の基準論」を採用せずに「比例原則」を採用するという流れなのですね。
阪奈:そうです。
払猿:私も特に異論はありません。
そうしますと、次は「あなた自身の見解」を述べる段階にいきますね。
言うのが遅くなりましたが、議論を分かりやすくするために、不許可処分ごとに、「主張・反論・自身の見解」と一気にまとめていきましょう。
・・・その10へ続く。