払猿:次は、何をもって相対的平等、つまり、”合理的区別”と判断するかですね。
これは、「正当化論」のレベルの問題です。
Aの訴訟代理人として、どう主張しますか?
神渡:「二重の基準論」の考え方で、”合理的区別”であるか否かを判断します。
精神的自由の制限には、「違憲の推定」が働きます。
それを前提に、具体的審査基準は、「保護強度」と「制限強度」の相関関係で判断します。
払猿:具体的審査基準は、どうなりますか?
神渡:本問の処分は、政治色の強さを主たる理由とする不許可処分ですから、政治的言論を理由とする不利益です。よって、精神的自由を理由とする制限にあたり、「違憲の推定」が働きます。
しかし、「平等」(14条)において、保護強度は、どう考えるのでしょうか?よく分かりません。
流相:え~と、これまでの議論と同じで良いのでは?
阪奈:でも、「平等」って、他者との比較概念です。
これまでの議論は、ある利益が憲法上保障されるのか?という権利の中身についての議論でしたが、「平等」では、中身の問題ではなく、他者との比較が議論の中心となりますので、これまでの議論と同じというわけにはいかないと思います。
払猿:皆さん、良いところに気がついていますね。
しかし、忘れてはいませんか?14条1項後段列挙事由について学説の対立がありましたね。
阪奈:あっ、14条1項後段の列挙事由を限定列挙と解し、その事由の別異の取り扱いについては、厳格に審査をするというのが通説でした。
ということは、14条1項後段列挙事由については、保護強度が強い、つまり、別異取り扱いが原則許されないということかと思います。
神渡:なるほど!そうですね。
そうすると、本問では、政治信条を主たる理由とする別異扱いですから、14条1項後段列挙事由に該当します。保護強度が強いわけです。
流相:そうなるんですね。
払猿:良いと思いますよ。
制限強度はどうなりますか?
続く・・・。