神渡 :(錆新先生って、女性だったのね。しかも、若い!30代だと思うけど、もう教授なの?)
錆新 :あ、忘れないうちに、指定した教科書等の確認をしましょう。
(1)松岡博[編]『国際関係私法入門(第3版)』(有斐閣、2012年)
(2)横山潤[著]『国際私法』(三省堂、2012年)
(3)澤木敬郎・道垣内正人[著]『国際私法入門(第7版)』(有斐閣双書、2012年)
(4)道垣内正人[著]『ポイント国際私法 総論(第2版)』(有斐閣、2007年)
(5)道垣内正人[著]『ポイント国際私法 各論(第2版)』(有斐閣、2014年)
(6)古田啓昌[著]『国際民事訴訟法入門』(日本評論社、2012年)
(7)本間靖規・中野俊一郎・酒井一[著]『国際民事手続法(第2版)』(有斐閣アルマ、2012年)
(8)櫻田嘉章・道垣内正人[編集]『注釈国際私法 第1巻』(有斐閣、平成23年)
(9)櫻田嘉章・道垣内正人[編集]『注釈国際私法 第2巻』(有斐閣、平成23年)
教科書は、(1)です。後は、参考書という位置づけです。
(3)(4)(5)は、国際私法の入門編で、
(6)(7)は、国際民事手続法の入門編です。
(8)(9)は、さらに詳しく調べたいときに使う辞典という位置づけです。
論文勉強の進度に合わせて使い分けてください。
錆新 :まずは、国際私法の範囲を分析しておきましょう。
このようになっています。
国際私法には、
(a)狭義の国際私法
(b)国際民事手続法
(c)国際取引法
の3分野が含まれています。司法試験の試験科目である国際私法の出題範囲もこの3つと言って良いでしょう。
この講義では、まず(a)の「思考枠組」について検討したいと思います。
錆新 :結論から言いましょう。
狭義の国際私法の「思考枠組」は次のようになっています。
すべて、この「思考枠組」に沿って事案を分析していけば国際的私法生活関係(渉外的私法関係)の分析になります。
刑法の「構成要件」「違法」「有責」と同じですね。法律はそもそも一定の枠組ですから、各科目に固有の「思考枠組」というものがあり、国際私法では、上の(1)~(4)が「思考枠組」となるわけです。
問題は、(1)~(4)のそれぞれの内容です。その内容の理解が国際私法固有の勉強ということになります。
・・・(4)へ続く。