払猿 :本問では、政治的「信条」を主たる理由とする別異取扱いがなされています。
では、その制限強度はどうでしょうか?
流相 :別異取扱いは、政治的信条を理由としていると考えられますので、内容規制だと思います。
また、B県立大学の教室は、「パブリック・フォーラム」だと思います。
そうしますと、パブリック・フォーラムでの内容規制となりますので、制限強度はMAXだと思います。
そこで、一番厳格な「厳格審査基準」によるべきだろうと思います。
阪奈 :ちょっと待ってください。
そもそも県立大学の教室は「パブリック・フォーラム」なんでしょうか?
「パブリック・フォーラム」の典型は、道路や公園だと思います。本問でも、始めの処分は道路でのデモ行進申請を不許可にしたもので、「パブリック・フォーラム」での表現規制に該当する問題でした。
しかし、教室使用申請不許可処分は、「パブリック・フォーラム」の問題ではないと思うのですが・・・。
払猿 :そうですね、県立大学の教室は典型的な「パブリック・フォーラム」ではありません。
県立大学の教室を「パブリック・フォーラム」と位置づける考えがあっても良いと思いますが、一般的な考えではないですので、司法試験の答案レベルでは、書かない方がいいでしょうね。
学術論文のテーマとしては良いと思いますが。
そうすると、本問の2番目の不許可処分はどう扱いましょうか?
阪奈 :私は、B県立大学教室使用規則でも分かるように、許可するか否かは基本的にB県立大学の裁量の問題だと思います。
流相 :そうすると、かなり緩やかな審査基準になりますよね?
裁量の問題は、B県側の反論で述べれば良いのではないですか?
Aの訴訟代理人としては、「厳格審査基準」に持って行く分析を考えるべきだと思うのですが・・・。
阪奈 :(たしかにそうね)
それは、そうでした。
議論を戻しますと、「パブリック・フォーラム」の議論はやめて、内容規制のため、制限強度が強いという筋で良いかと思います。
払猿 :それで良いでしょう。「厳格審査基準」ということですね。
具体的には、「規制目的がやむにやまれぬ必要不可欠なものである」かどうかで判断するわけですね。
Aの訴訟代理人としての議論はこれで良いでしょう。
・・・B県側の反論(15)へ続く。