---ロビーにて---
ちょうど購買部へ行こうと思っていたし。
どうしたの?相談があると言っていたけど?
司法試験の問題って長すぎて何をどうしたら良いのかわからなくなるんだ。
で、思ったんだけど、予備試験の過去問を解いてみるのも良いんじゃないかなぁ?と思って。
予備試験の問題だと司法試験の問題よりは簡潔になっているから僕みたいに刑法が苦手な人には入りやすいんじゃないかって思うんだ。
司法試験の問題は確かに長すぎるわねぇ。
賛成!
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あ、でも、阪奈に…
---後ろを振り返る流相---
で、なんの話?
私も参加するから。
そうと決まれば問題を決めるわよ。
令和元年の刑法ね。
1時間は各自で検討してから集まりましょう!
じゃね流相
あ、問題はネットにあるからちゃんと見るのよ!
これだろ?
ちゃんと分析してくるのよ?
わかった?
---後ろ向きのまま手を振る阪奈---
せっかくのチャンスが…
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まぁ、でもできるところを見せて見直してもらわないとな。
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(しかし予備試験の問題も長いなぁ。
司法試験の問題よりはマシだけど。
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甲の罪責ね。
で、Aに対する詐欺(未遂)罪と特別法違反の点は除くと。
まずは、行為を拾うんだったな。ということは、主観の部分はとりあえず飛ばす感じか。
・「依頼を受けた」
・「承諾し」た
・「預かった」
・買いませんかと「言」った。
・「必要な書類をAに交付し」た。
・「合意した」
・「署名し」た
・「Aに会いに行」った。
・「伝えた」
・「ロープで絞めた」
・「海に落とした」
で次はどうするんだっけ?
なんとなく、偽造罪と殺人罪の問題というのはわかるけど。他にもあるのかなぁ?
行為を拾いだすと余計にややこしくなった気がする…
とりあえず、偽造罪と殺人罪の検討をしておこう。)
---約束の時間---
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待ってないよ、神渡さん。
どんな感じ?
そこが一番難しい気がする。
刑法と事実が初めて交わる部分が一番頭と知識を使うかもしれない。
そういえば、最近用事があって役所に行ったんだけど、どの部署に行けば良いのかわからないから窓口に聞いたら、窓口の人もどうもわからないみたいで、あの部署かもしれません的な回答なわけ。
でその窓口に行くと、ここではありませんと。
じゃ、どこですかと聞くと分かりませんだって…
あれが悪名高い役所のたらい回しね。
いや、そもそも回されていないからたらい回しにもなっていないけど(怒)
阪奈の世間話に付き合ってる暇はないんだけど??
さすが神渡さん。こいつとは大違い!
その窓口が適切な対応をしないと行政サービスは無意味になるのよ。
ということは、窓口担当の職員は役所の組織図から各部署の業務内容を熟知している人が担当する必要があるわけ。
窓口担当者は、広く深い行政に関する知識を備えていないと本来は務まらないわけ。
これって、司法試験でも全く同じだと思わない?
事実を見たときに、法的に何が問題となるかは、その人の法的知識の広さと深さで変わってくるものね。
法的知識がなければ事実から法的に問題となりそうな事実を見つけることはできないのだから。
事実から自然と法的に問題となりそうな事実が選び出され、その事実に法的評価を加えて法的問題が解決される、というような印象を法律を知らない人は思うかもしれないけど、法律家は、事実を見るときに既に法的なメガネをかけて事実を見ているのよね。優れた法律家は、優れた法的なメガネをかけているはず。
だから、法的なメガネの精度がどれだけ高いかによって、試験の点数も変わってくると思う。
---次話へ続く---