阪奈: つまり、本件認可が、「本件組合」を介して、個々の組合員に、何らかの効果が及ぶかどうかを検討する必要があります。
流相: あ~~、そうか、なるほどぉ。
ということで、「個別的」効果の検討をするわけですね。
富公: そうです。
どうなりますか?
神渡: この点に関して、C県の職員は、
市町村が土地区画整理事業を行う場合には、定款ではなく施行規程を条例で定めることとされています。条例の制定行為に処分性が認められないのと同様に、本件認可は処分に該当するものではありません。
神渡:と述べたそうです。
富公: そうですね。【法律事務所の会議録】にはそう書かれていますね。
この会議録の指示に従って処分性該当性判断をしていきましょう。
まず、この主張はどのような法的根拠に基づいていますか?
神渡: それは、国民への一般的な法効果をもたらすにすぎない条例の制定行為を根拠にしています。
富公: 何を理由に本件認可の処分性を否定しているのですか?
神渡: 本件認可を条例の制定行為と同じものと位置づけて、本件認可に個別的効果がないことを理由に処分性を否定しているのだと思います。
阪奈: さらに突っ込みますと、条例は一般的法効果を持ちます。
そして、個々の国民に対してなされる行政行為により条例が具体化されます。
つまり、条例を具体化する行政行為により、初めて国民への個別的法効果が発生します。
条例
↓
行政行為
↓
個別的法効果
という図式が成り立ちます。
この図式が、本件認可にも妥当すると主張するのがC県の主張だと思います。
富公: ほうほう、具体的には?
阪奈: 具体的には、
本件認可
↓
(適法な定款変更)
↓
定款に基づく賦課金の決定・徴収
↓
組合員への個別的法効果
という図式が成立します。
本件認可=条例の制定行為
定款に基づく賦課金の決定・徴収=行政行為
ということです。
組合員への個別的法効果をもたらすのは、あくまでも定款に基づく賦課金の決定・徴収なのだから、本件認可は国民への個別的法効果をもたらさない、よって、本件認可に処分性はない、とC県側は主張していると思います。
富公: そういうことになりますね。
よく分析されていると思いますよ。
では、この主張に対してどのように反論すべきでしょうか?
賦課金の具体的な仕組みに即した丁寧な検討をしてみましょう。
流相: ・・・
どう検討していったら良いのでしょうか・・・
富公: まず、本件定款変更の内容はどういったものでしたか?
---次回へ続く---