阪奈: “まだ、何かあるのぉ?”
じゃない!
条文のどの文言の問題なのか?を確定する必要があるでしょ?
流相: ん?
どういう意味?
阪奈: たとえば、刑法で、防衛の意思の問題があるわよね?
流相: あるね、典型論点だ。
突然刑法の問題なんか出してなんの関係があるんだ?
阪奈: 防衛の意思の問題って、どの文言の問題?
流相: どのって…
刑法36条1項の問題だよ!
阪奈: だから、その36条1項のどの文言の問題なの?
流相: …
考えたことないんだけど?
阪奈: やっぱりね!
神渡: 防衛する「ため」を充たすかどうかの問題だと思う、防衛の意思は。
阪奈: そうそう、そうなのよ!
さすが神渡さん、私と同じく基本を押さえているわね。
流相: なんだよ、自慢かよ。
どうせ、基本がで来ていませんよ、僕は。
阪奈: まぁまぁ、いじけない、いじけない。
流相: この憲法の過去問で言うと、どの文言の問題?
阪奈:
「便益・・・のため」(89条前段)
阪奈:でしょうね。
あまりそのことを明記した基本書は見ないんだけど。
流相: あぁ~、たしかにその文言の問題かもしれない。
で、いよいよ、「目的効果基準」の問題を検討すると。
阪奈: ただねぇ、ここの問題は難しいと思うのよねぇ。
神渡: 空知太神社事件のこと?
阪奈: そう、その事件での最高裁の採用した規範が「目的効果基準」ではないのよ。
神渡: これまでは、政教分離と言えば当然に「目的効果基準」だったんだけど、あの判決は違ったから、どうしたらいいのか私はよくわからなくて。
阪奈: 私も分からないのよ。
流相: 僕もわからないけど、「目的効果基準」でいいんじゃないの?
だって、ほとんどの受験生は、当然に「目的効果基準」で書くと思うよ。
阪奈: そうなんだろうけど、それだとなんか気持ち悪いのよねぇ。
自信をもって書けないし。
流相: 真面目だなぁ
単なる試験なんだから、別に気にしなけりゃいいじゃないか!
本当に理解しているかどうかなんて問われていないし、相対評価なんだからさ。
阪奈: それは分かるんだけどね。
神渡: 私も阪奈さんと同じでしっくりこないとなかなか書けない…
流相: あっ、やっぱり。
だよねぇ~。
僕もそうなんだよ。
阪奈: …
流相: じゃ、困ったときは払猿先生に相談だ。
いざ、研究室へ!
---2分後---
---コンコン---
流相: 払猿先生、いらっしゃいますか。
流相と、神渡さんと、他1名です。
払猿: いますよ。
どうぞ。
流相: 失礼します。
神渡: 神渡です、失礼します。
阪奈: ついでに阪奈です、失礼します(流相を睨む)。
流相: 本日は政教分離について質問がありまして伺いました。
お時間は大丈夫でしょうか。
払猿: どうぞ。
どういう問題ですか。
流相: 司法試験の過去問がらみです。
「目的効果基準」と空知太神社判決の関係です。
払猿: あれですか。
なかなか難しい問題ですねぇ。
要は、「目的効果基準」の射程の理解にあります。
阪奈: そこが難しいと思います。
これまで、最高裁は、「目的効果基準」オンリーでしたが、空知太神社事件では、突然、別の基準を採用しました。
何故なのでしょうか。
払猿: 色々な人が色々なことを言っていて、まだ定説がないというのが現状でしょうね。
大きく、3つの考えがあると言っていいでしょう。
・事案の性質に着目する見解
・違憲状態の解消に着目する見解
・「目的効果基準」の上位規範に着目する見解
払猿:があります。
---次回へ続く---