払猿:不許可処分という行政の「処分」の違憲性の判断基準として「LRAの基準」などを使えるでしょうか?
流相:(考えたことがない。使えないのかな?)
払猿:たとえば、「LRAの基準」は、どういう審査でしたか?
流相:法令の目的が重要であるか、法令が採用している手段が目的達成にとって、よりソフトな手段であるかを問う審査です。
払猿:つまりは、「LRAの基準」は、法令の何を審査しているのでしょうか?
流相:法令の目的と手段の関係だと思いますが・・・。
払猿:そうです。
法令の作りはどうなっていますか?
流相:え~と、実現すべき目的と、その目的を達するための手段の複合体だと思います。
払猿:そうです。
ということは、法令は「目的と手段」の構造を有しているということです。
「目的と手段」の構造を持つ法令を審査するのが「LRAの基準」など、これまで検討してきた審査基準なのです。
まとめると、「LRAの基準」「厳格審査」基準など今まで使ってきた基準は、法令の構造を審査する際に使用する基準なんです。
払猿:では、「処分」の憲法適合性はどう判断すべきでしょうか?
教室内: ・・・。
払猿:行政庁の「処分」の仕組みから考えてみましょう。
誰か、挑戦してくれませんか?
阪奈:「処分」は、法律を具体化する行政庁の行為です。具体的事件に抽象的な法律を適用する作用といってもいいと思います。
払猿:そうですね。
行政法の問題ではありますが、憲法でも「処分」を理解しておくことは大切です。
「処分」をする際、行政庁はどうするのでしょうか?
阪奈:どうするとおっしゃいますと?
払猿:行政庁は機械的に法律を適用するのでしょうか?
阪奈:いえ、違います。
ある具体的事実が法要件にあてはまるかについて行政庁の判断を要します。法要件は抽象的ですから。
払猿:そうです。
では、その行政庁の判断に裁判所はどういうスタンスで対応すればよいのでしょうか?
阪奈:行政裁量の話でしょうか?
払猿:関係しますね。
阪奈:行政庁の判断を尊重すべき場面と、そうではない場面があります。
裁量行為は前者で、覊束行為は後者になります。
払猿:行政法もよく勉強されていますね。
その裁量との関係で行くと、この過去問で問題となっている「処分」はどちらになるのでしょうか?
阪奈:え~と、この「処分」がAの表現の自由を制限する行為であることからすると、法要件該当性判断についての裁量は限定すべきだと思います。
あっ!「二重の基準論」と同じ考え方ですね。
払猿:そうなりますね。
裁判所は、行政庁の法要件該当性判断を裁判所独自の立場から検討するということになりますね。
つまり、行政庁の法要件該当性判断は、憲法に適合的になされる必要があるのです。
私は、これを「憲法適合的判断」と言いたいと思います。
阪奈:はい。
払猿:では、行政庁の法要件該当性判断はどう審査しますか?
阪奈:法令の構造審査での考え方と同じようにできるかと思います。
払猿:具体的にはどうなるでしょうか?
・・・その5へ続く。